Vicar in a Tutu

The Smiths - The Queen Is Dead - 1986
♯8 Vicar in a Tutu
 
1986年の歴史的傑作 The Queen Is Dead 収録曲。アルバムからの 1st シングルとなった The Boy with the Thorn in His Side がフェイド・アウトした後,唐突な歌い出しに始まり僅か222秒でこれまた唐突に幕を閉じるこの曲は,モリッシー一流のユーモアとシニカルな視点が光る何とも微笑ましい「変態」ソングだ。
 
僕は没頭していた/ホーリーネーム教会の鉛の屋根を剥がす仕事に/すると/
一生笑いのネタにできそうな/強烈な光景が目に飛び込んできたんだ/チュチュを纏った牧師が…
 
チュチュを纏った牧師!
 
チュチュとは主にクラシック・バレエで使用されるスカート状の衣装のこと。これだけで既に変態牧師のヴィジュアル・イメージが目に浮かんでくるわけだが,曲中の主人公は続ける。
 
彼は/決して変態というわけではない/ただ/自分が思うように生きているだけなんだ…
 
さて,そのチュチュはと言えば…
 
飾りのリングの付いた/ガチョウの頭も隠せそうにないほどの/僅かな布切れで出来た代物…
 
そんなチュチュを纏って思う存分踊り狂った牧師は,翌日にはまた無知や病と闘うよう信者を諭しているというわけだが,そのお気楽な説教の後で再びチュチュを纏って踊り出す彼の姿もまた決しておかしなものではなく,己の信念に基づき生きているのだけなのだという。そして主人公が最後にこう叫んでこの曲はエンディングを迎える。
 
どんな男だって/チュチュの生地は病みつきになるんだ/ああ/僕にもその兆候が…
 
やはりただの変態ソングとしか言えないような気もしないではないが,この曲の後に There Is a Light That Never Goes Out でアルバム最大のハイライトを迎える The Queen Is Dead の凄まじい楽曲構成にも舌を巻かざるを得まい。
 
 
 

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