The Boy with the Thorn in His Side

The Smiths - The Boy with the Thorn in His Side - 1985

1986年の 4th アルバム The Queen Is Dead からのリード・シングル。(アルバムに収められているのはシングルとは異なるリミックス・ヴァージョン。)「ティファニーで朝食を」などで知られるトルーマン・カポーティの若き日の姿をあしらったジャケットも印象的なこの 10th シングルは,ザ・スミスが初めてMVによるプロモーションを許可したシングルとしても知られる。
 
いきなり楽曲の良し悪しとは全く関係のない話になってしまうが,「心に茨を持つ少年」というこの曲の邦題は,実のところ完全な誤訳だと個人的には思っている。(断っておくと,僕らのような熱心なリスナーの間には完全にこの邦題が定着しているし,僕自身,邦題そのものは見事なものだと思っている。)
 
心に茨を持つ少年/憎しみの影に潜むのは/強烈な愛への渇望/
僕のことを信じてなどいない/そんなみんなが/どうして僕の瞳を見つめてくれる?/
僕のことを信じてなどいない/そんなみんなが/どうして僕の言うことに耳を貸してくれる?/
今/信じてくれないのなら/一体/いつ僕を信じてくれるの…?
 
確かに愛と憎しみの間で足掻きながら決して理解されることのない主人公の苦悩が描かれてはいるが,モリッシー自身がかつて「この『茨』はミュージック・シーンを指していて,僕の言うことを信じようとせずにひたすら僕を排除しようとしてきた奴らのことでもあるんだ」と述べていることからも,「茨」は主人公の内的要因ではなくむしろ外的要因と捉えるべきだろう。
 
あなたは生きたいと言うけれど/一体/それはどうやって始めるの?/
あなたはどこに向かっているの?/一体/誰に会いたいっていうの…?
 
いずれにせよ,無残なリリックと陽気なトラックが織り成すこのあまりに残酷なコントラストこそがザ・スミスの真骨頂。全英最高23位とチャート・アクションこそ今ひとつだったものの,やはりキャリア屈指の名曲と言って差し支えないだろう。
 
 
 

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