I Want Your Sex

George Michael - I Want Your Sex - 1987

 

1987年にリリースされたジョージ・マイケルの 1st ソロ・アルバム Faith からのリード・シングル。エディ・マーフィー主演の映画「ビバリーヒルズ・コップ2（1987年・米）」でも使用された。

 

脱・アイドルを期して大胆なイメージ・チェンジを図ったジョージが敢えてこのシングルを先行させたであろうことは想像に難くないが，タイトルのみならずそのリリックにも卑猥な表現が延々と続くこの過激な1曲は，果たして，英BBCやここ日本の東京FMを含む世界各国の放送局によって放送禁止措置が取られることとなった。（結果，好調なセールスにもかかわらずエアプレイの少なさが影響して英・米共に最高2位止まりとなった。）

 

MV中，当時の恋人だったキャシー・ユングの背中に口紅で「MONOGAMY（一夫一婦）」と書き込むシーンに象徴されるように，リリース当初は「これは決してセックスを軽々しく扱ったものではなく，たった一人を愛し続けるべきだという愛の真実についての曲だ」と述べていたジョージだが，後に「あれは確信犯だった」と告白している。

 

サウンド的にはシンクラヴィアを導入して完璧に抑制されたデジタル・ビートに乗せてジョージのソウルフルな歌唱が展開する圧巻のダンス・チューン。元々は他のアーティストに提供するためにレコーディングされていたアップ・テンポなトラックをエンジニアが誤った回転数で再生。そこから生まれた太くスローなビートを気に入ったジョージがそのまま I Want Your Sex へと進化させたんだとか。（ジョージはこの曲のサウンド・デザインが当時彼が心酔していたというプリンスの Sign O' the Times の影響下にあったと公言している。）

 

その過激なリリックの是非はともかく，アコースティックとデジタル・ダンスが見事に共存した80年代UK屈指のモンスター・アルバム Faith にあって，見事ビルボードの年間No.1にも輝いたタイトル・トラック Faith と双璧を成す傑作シングルだったと言えるだろう。