Raspberry Beret

21日,ポップ・ロック史上最高の天才・プリンスが57歳という若さでこの世を去った。
 
スタジオを兼ねたミネアポリス近郊の自宅で意識不明の状態で発見され,そのまま死亡が確認されたという。ミネソタ州の司法当局は,死因特定のために遺体の解剖に着手したことを明かしたが,結果判明には数週間かかる可能性があるとしている。
 
冒頭に述べたように,僕は今なお彼こそがポップ・ロック史上,最高の天才にして最大の怪物だと信じて疑わない。

「最もリスペクトするミュージシャンは?」と訊かれれば迷わず彼の名を挙げるし,オール・タイム,オール・ジャンルで最も好きなアルバムにも Lovesexy を挙げる。無人島に1枚だけ持って行くならその Lovesexy を,仮に10枚の所持が許可されるなら Around the World in a DayParade,そして Sign O' the Times が加わることになる。
 
…と,ここまで書くと,本ブログの性質上,かなり意外に思われる読者の方も多いかもしれない。
 
もちろん,その10枚にはザ・スミスの The Queen Is Dead やニュー・オーダーの Substance も含まれるわけだが,彼らは僕のフェイヴァリットであってリスペクトの対象ではない。(僕のリスペクトは,例えばスティーヴィー・ワンダーやマドンナ,あるいは Dangerous までのマイケル・ジャクソンといった面々にこそ向けられる。)
 
話を戻そう。僕が初めて耳にした彼の楽曲は,1985年の 7th アルバム Around the World in a Day からの 1st シングルとなった Raspberry Beret だった。
 
Prince & The Revolution - Raspberry Beret - 1985
 
それまで耳にしたどんな曲にも聴かれなかった彼の独創的なサウンドとグルーヴは,ポップ・ミュージックに開眼したばかりの小学生だった僕に強烈なインパクトを与えた。
 
 
以来,今年1月にリリースされた Hit n Run Phase Two まで30年以上も彼のサウンドを追い続けることになるわけだが,彼の魅力について端的に書かれたドーナツ盤 Raspberry Beret のライナーを引用してこの記事の締め括りとしたい。
 
「『ビートルズが好きだわ,きっと。』アポロニアはさりげなく言ってのけた。プリンスに好きなアーティストなんているわけないと思って訊いてみたら,こんな答えが返ってきた。一瞬意外だと思ったけれど,新しいプリンス&ザ・レヴォリューションの音を聴いて納得した。もちろん,プリンスの音が『ビートルズっぽい』なんてことじゃない。プリンスみたいな天才のすることをカテゴライズしたり,予測したりすること自体馬鹿馬鹿しい。発想の自由さ,サイケデリックな音の色合いが,中期頃のビートルズを思わせるというだけだ。いずれにしろ,『パープル・レイン』に続くアルバム『アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイ』が,この『ラズベリー・ベレー』を含んで,『期待を裏切り,それを超えるもの,今まで聴いたことのないサウンド』であることだけは間違いない。君の感性は自由なんだから,新しいものを恐れちゃいけない。すべての先入観を投げ出して,プリンス&ザ・レヴォリューションの音に全身をあずけることだ。」

稀代のポップ・スター,プリンスの冥福を祈る。

 
 

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