Blame It on the Rain

Milli Vanilli - Blame It on the Rain - 1989
 
ロブ・ピラトゥスとファブリス・モーヴァンをメインに結成されたミリ・ヴァニリのデビュー・アルバム Girl You Know It's True からの 3rd シングル。全英最高52位,全米では見事No.1を記録した。
 
彼らの名は僕と同世代のリスナーにはおそらく新人賞剥奪というセンセーショナルな事件でグラミー史に歴史的な汚点を残したことでも記憶されていることだろう。事の発端はビッグ・ヒットを連発して天狗になったロブ&ファブと対立したプロデューサーのフランク・フェーリアンによる怒りの「『影武者』暴露」。マーケットは違えど,ほぼ同時期に既にハッピー・マンデーズのベズやザ・プロディジーのキース・フリントといったシンボリックな存在が認知されていたわけだから,これはやり方というか単に見せ方の問題だったのだろうと個人的には思う。
 
果たして,セッション・メンバーとしてクレジットされていたチャールズ・ショウ,ジョン・デイヴィス,ブラッド・ハウエルが実際にはヴォーカルも担当していたという事実が明かされた後,グラミー受賞と剥奪という前代未聞の事態に至るわけだが,とは言え,ミリ・ヴァニリとしてはロブ&ファブの2人が参加した(ことになっている)唯一のアルバムとなった Girl You Know It's True に聴かれるサウンドはなかなか見事なクオリティだし,とりわけダイアン・ウォーレンが手掛けたこの 3rd シングルは今でも僕の大のフェイヴァリットだ。
 
君のせいじゃない/降り出した雨のせいさ/夜/顔を出さなかった星のせいにしたっていい/
君以外の/何だって理由にできるんだよ/雨のせいにしてしまえばいいのに…
 
ラップをフィーチャーしたポップなR&BR&Bテイストと言ってもいいかもしれないが)というのが当時のブラック・ミュージック・シーンのトレンドの1つになりつつあったと記憶しているが,自身のプライドゆえ恋人を捨てた曲中の主人公に向けられた何とも安っぽいリリックは如何にも80s然としたチープなトラックと相俟って不思議と胸を打つ。
 
結局,このシングルを最後にロブ&ファブは絵に描いたような転落の道を辿り,ついにはロブがオーヴァードースでこの世を去ってしまうわけだが,どこか神秘的というかカリスマティックな魅力をも湛えた彼らの端正なヴィジュアル・イメージ,キャラクターをどうにか活かす術はなかったものかとも思う。
 
 
 

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