1979

The Smashing Pumpkins - 1979 - 1996

「メロンコリーそして終わりのない悲しみ」という邦題もなかなか印象的だったスマッシング・パンプキンズの 3rd アルバム Mellon Collie and the Infinite Sadness は,所謂ヘヴィ・ロックにさほど明るくないということも影響してか90年代のロック・シーンを席巻したグランジ,オルタナティヴ・ブームにもかなり懐疑的な立場にあった僕の数少ないフェイヴァリットの1つだが,その Mellon Collie and the Infinite Sadness からの 2nd シングルとなったのがこの曲。

全英最高16位,全米最高12位を記録。翌年のグラミーでは Record of the YearBest Rock Performance by a Duo or Group with Vocal2部門にノミネートされ,MTV Video Music Award では見事 Best Alternative Video に輝いた。

この曲のタイトルになっている 1979 は文字通り「1979年」のこと。1979年当時,フロント・マンのビリー・コーガンは12歳。彼が自身の思春期と考えているのがこの頃だそうで,何ともノスタルジックな魅力を湛えたトラックをバックに不安と憤りを抱えた若者がさまざまな経験を通じて救いを見出す様子が描かれている。

僕が特に好きなのが次のフレーズ。

僕らは知らない/僕らが灰になってから/僕らの骨がどこで休息するのかを/
きっと/忘れられて溶け込んでしまうんだと思う/僕らの足元の大地へと…

僕は僕が死んだらその下で母と妹が共に眠る桜の木の周辺,あるいは妹がこよなく愛した沖縄の海にでも撒いてほしいと常々思っているのだが,そんなことを考えながらこの曲を聴き返すと何とも言えない感情が込み上げてくる。

この曲の世界観に見事にフィットしたMVも妙に郷愁を誘うし,決して優れているとは言えないビリーのヴォーカルもここでは吉と言えるだろう。

余談だが,2枚組の大作となった Mellon Collie and the Infinite Sadness のためにビリーが書き溜めた56曲の最後に書き上げられたのがこの曲だったそうで,プロデューサーのマーク・エリスは当初アルバム収録曲の候補から除外。4時間にも及ぶビリーとの議論の末,ようやく収録が決まったんだとか。

これほどの名曲が日の目を見ることがなかったかもしれないと思うと少々笑えない話ではある…。



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