僕の人生を彩った私的名曲12選

僕のお気に入りのサイトの1つに☆おすすめ名曲ランキング☆「音楽鑑賞サブノート」があるが,前身の「無人島の1枚を探すブログ」時代から管理人であるおとましぐら氏の豊富な知識と含蓄あるレヴューには感心頻り。サイトのリニューアルに際して新たに加えられたランキング形式のレヴューと共に記事の更新を楽しみにしているわけだが,とりわけ強く僕を惹きつけたのが「私の『無人島の一枚』の候補となる極私的名曲10選」という20191222日の記事。
 
記事中,氏の人生における最重要曲10曲が選ばれているが,リストは随時追加予定で,最終的には100曲程度に絞り込む意向だという。「人生における最重要曲を選ぶ」というそのコンセプトはもちろん,リストを追加しながら最終形を目指すというスタイルもまさに「これはパクるしかない!我が意を得たり!」といったところ。
 
ここは早速,氏のコンセプトをパクって参考にさせていただき,僕も「僕の人生における最重要曲」のリスト化に着手しようと思う。厚かましくも,随時リストを追加していくという氏の手法もしっかりパクって取り入れさせていただいて,長い時間を掛けながら記事の完成を目指していくこととする。(なお,リストの追加に際してタイトルは更新,当初の順位は変動の可能性もあるものとする。)
 
1
Morrissey - Interesting Drug - 1989


面白そうな薬だね。君が取り出したその薬。本当のところを教えてほしいな。それは本当に君の助けになるの?面白そうだとは思うよ,その薬。でも,本当にそれで君は救われるの?

多感な思春期。どう足掻いても結局這い上がることはできないというこの曲の辛辣なメッセージは,ステファン・ストリートが手掛けたポップなトラック,モリッシーの伸びやかなヴォーカルと共に,僕のその後の人生観を決定づけたとも言えるほどの強烈なインパクトで僕の心を揺さぶった。
 
お気づきの読者も多いと思われるが本ブログのタイトルはこの曲から拝借したもの。
スタジオ・アルバム未収録

2
Bright Eyes - At the Bottom of Everything - 2005


女性は飛行機の中。婚約者に会いに行く途中で,この惑星の大海原の上空を飛んでいる。彼女は隣の男性に話し掛けようとしたが,男性は気にも留めずブラッディ・メアリーをオーダーする。彼女は座って本を読んでいるが,その本には彼女が発音もできないような第三世界のある国について書かれており,彼女はすっかり退屈してしまっている。

すると突然,機械が故障してエンジンの1つがダメになってしまった。そして彼女たちは30,000フィート上空から下降を始めた。パイロットはマイクに向かって言った。「申し訳ありません。申し訳ありません。ああ,何てことだ。」

パイロットの謝罪が続く中,彼女は隣の男性に訊ねた。「私たちはどこへ向かっているの?」「パーティーですよ。そう,誕生日パーティー。それも,君の誕生日パーティーだ。お誕生日おめでとう,お嬢さん!We all love you very, very, very, very, very, very, very much!!!

そして彼はハミングを始めた。こんな感じで。さあ,聴いて…。

30,000フィート上空の機内で繰り広げられる印象的なモノローグとリズミカルなストロークに彩られた本編とのあまりに残酷な対比で,唐突に訪れる死までの一瞬を鮮やかに切り取った1曲。

6th アルバム I'm Wide Awake, It's Morning 収録

3
The Smiths - Still Ill - 1984


鉄橋の下で僕らはキスをしたんだ。唇が腫れ上がってお終いだったんだけどね。もう,僕が以前のように感じることはないんだよ。畜生!あの頃とは何もかもが違ってしまっているんだから。ああ,僕は病んでいるのか…?ああ,僕は…まだ…病んでいるのか…?

冴え渡るモリッシーの詞作とあまりにも煌びやかなジョニー・マーのギター。儚くも美しい321秒の奇跡。

1st アルバム The Smiths 収録

4
The Stone Roses - Elephant Stone - 1988


UKロック史上最強のリズム隊,レニ&マニの強烈なビートとジョン・スクワイアのサイケデリックなギターが織り成す凄まじい陶酔感で90年代型UKギター・ロックのあるべき姿を示したまさに革命的シングル。

後に世界を席巻するマッドチェスター・ムーヴメントの引き金となり,その後の僕の音楽的嗜好に大きな変化をもたらした1曲でもある。僕にこれほどまでに鮮烈なインパクトを与えられるのは,後にも先にもこの曲だけだろう。

1st アルバム The Stone Roses 収録

5
Depeche Mode - Blasphemous Rumours - 1984


16歳の少女のある夏の物語。自殺を図って一命を取り留めるも,キリスト教に目覚めた途端に交通事故で命を落とすという彼女の皮肉な運命を綴った後,不相応なまでにポップなサビのメロディに乗せて語り部は神に毒づく。

冒涜するわけじゃないが,神は悪い冗談がお好きなようだ。俺が死んでもきっと主はお笑いになるんだろう…。

思春期の僕を強烈にインスパイアした1曲だ。
4th アルバム Some Great Reward 収録

6
Prince and The Revolution - Kiss - 1986


フェイヴァリットでなくリスペクトという視点に立てば,間違いなく僕にとって最も大きな存在となるのは僕が今なお「ポップ,ロック史上最高の天才にして最大の怪物」と信じて疑わないプリンスということになる。

40年近くにも及ぶその長いキャリアの中で彼が残した膨大な楽曲群からベストを選ぶことなどそもそも無理な話ではあるが,贅肉を徹底的に削ぎ落としたシンプルかつタイトなトラックが表情豊かに驚くべきグルーヴを醸すこのミネアポリス・ファンクの逸品は,まさに天才・プリンスの真骨頂と言えるだろう。
8th アルバム Parade 収録
 
7
Ben Watt - North Marine Drive - 1983
 
 
ザ・スミスという規格外の例外を除けば,ポストパンク期の金字塔とも言える不朽の名曲。

ベン・ワットの精巧なフィンガー・ピッキングのみを拠りどころとした極めてシンプルなこの叙情詩は,それ故,強烈な哀感を湛えてリスナーの胸を打つ。
1st アルバム North Marine Drive 収録
 
8
Tears for Fears - Everybody Wants to Rule the World - 1985


「この曲のコンセプトは極めてシリアスなものだよ。誰もが欲しがる富と権力,それが如何に悲惨なものであるかを歌っているんだ(カート・スミス)」

楽曲自体はローランド・オーザバルのペンによるもの。哲学的でやや難解なリリックが持つメッセージ性も然ることながら,トラック,リズム,メロディ,楽曲構成,どれを取っても非の打ち所がない奇跡的な完成度。今なお,僕がオール・タイム,オール・ジャンルで最も好きな楽曲の1つだ。
2nd アルバム Songs from the Big Chair 収録

9
WHAM! - Freedom - 1984


ドーナツ盤が擦り切れるほど聴き込んだ1曲だが,少年期の僕が所謂ポップ・ミュージックに開眼する契機となったという点で,僕の人生においてこの曲が持つ意義は大きい。

UKが世界に誇るジーニアス・スーパースター,ジョージ・マイケルのその後の活躍を考えればまだまだ稚拙さが残るものの,この曲に溢れるポップ・センスはその大器の片鱗を存分に見せつけていたと言えよう。

2nd アルバム Make It Big 収録

10
Suede - Animal Nitrate - 1993


僕に凄まじい衝撃を与えたのは,ブリットポップ屈指の名曲であるこのシングルの良し悪しではなく,ブレット・アンダーソンをして「歌わないシンガー」と言わしめたギタリスト,バーナード・バトラーの官能的なプレイ。何とも甘美で退廃的,どこまでもグラマラスに絡みつく彼のプレイは,それまでカッティングに偏重していた僕の嗜好に大きな影響を与えた。

このシングルのリリース以降,ジョニー・マー,ジョン・スクワイア,そしてバーナード・バトラーが僕にとっての3大ギタリストということになっている。
1st アルバム Suede 収録
 
11
The Killers - Bling (Confession of a King) - 2006
 
 
記事本編にも書いたことだが,2006年当時は公私共に大きな問題を抱えていた時期。体力的にも精神的にも疲労のピークに達していたその時期,彼らの仰々しいサウンド・デザインが際立つこの曲はダイレクトに僕の胸を打った。
 
高く,高く。僕らは辿り着けるさ。しがみつくんだ。僕らならできる。乗り越えられる。高く,高く…。
 
とりわけ,予想外にエモーショナルな盛り上がりと共に発せられる終盤の力強いエールは,疲弊していた僕に大きな勇気をくれた。
 
そこまで難しいことではないんだ。僕がつかんだものが黄金のような輝きを放ち始めたその時,きっと君はまた僕を思い出すはずさ。
 
何度繰り返しても涙が溢れてくる。音楽に救われるというのはこういうことなのだろう。
1st アルバム Sam's Town 収録
 
12
Bone Thugs-N-Harmony - Tha Crossroads - 1996
 
 
1995年,エイズの合併症により31歳という若さでこの世を去ったイージー・Eに捧げられた1曲。
 
個人的なある事情から人の生死について深く考えていた時期に聴き込んでいたということもあり,流麗なラップでユニゾン,ハーモニーを奏でるという彼らの鮮烈なスタイルと示唆に富むMVが印象的なこの追悼歌は僕の心に深く刻まれることとなった。 
スタジオ・アルバム未収録
 
 
 

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