Cantaloop (Flip Fantasia)

Us3 - Cantaloop (Flip Fantasia) - 1992
 
僕の世代で90年代前半のUKミュージック・シーンに馴染みの深いリスナーであれば,おそらくロンドンのクラブ・シーンに端を発した所謂アシッド・ジャズ・ムーヴメントの盛り上がりが記憶に残っていることだろう。僕自身,ここ日本でも熱狂的支持を得たジャミロクワイを始めとしてブラン・ニュー・ヘヴィーズやガリアーノ,あるいはやコーデュロイやインコグニートといった面々のアルバムはずいぶんと聴き込んだものだ。
 
この曲はそのアシッド・ジャズの旗手として登場し,後に「ヒップホップ・ジャズ」という新たなジャンルの確立に寄与することにもなる Us3 1993年にリリースした傑作 1st アルバム Hand on the Torch からのリード・シングル。最高23位となった全英のみならずスイスで最高7位,オーストリアで最高3位,ギリシャで最高2位を記録するなどヨーロッパ圏を席巻したほか,カナダで最高24位,全米では最高9位と北米でも予想外の健闘を見せた。
 
ブルー・ノートの全ての音源の使用を許可されている彼ららしく,ハービー・ハンコックの Cantaloupe Island やドナルド・バードの The Cat Walk をサンプリングしたトラックがこの曲の大きな魅力となっているわけだが,ブルー・ノートの音源を使った初期の活動が(ブルー・ノートの権利を持つ)EMIの反感を買ってオフィスに呼び出され,済んでのところで訴訟を回避したという彼らがブルー・ノートの音源使用を許可されたばかりかそのブルー・ノートからこのシングルをリリースすることになったというのは何とも興味深い話だ。
 
いずれにせよ,オープニングのトランペットの音色と Funky! Funky! の掛け声も一際印象的なこの曲には「ヒップホップとジャズを融合させる…50%がジャズ,50%がヒップホップ…そんなことが可能かどうか?そんなコンセプトからスタートしたんだ(ジェフ・ウィルキンソン)」という彼らのチャレンジが見事に結実。今なおブルー・ノート史上最も売れたレコードとして認定されているというのも納得の1曲だと言えるだろう。
 
 
 

0 件のコメント:

コメントを投稿