Meat Is Murder

The Smiths - Meat Is Murder - 1985
♯10 Meat Is Murder
 
1985年の 2nd アルバム Meat Is Murder のタイトル・トラックでもあるこの曲のショッキングなコンセプト(食肉は虐殺だ)は,10代からの徹底した菜食主義者として知られるモリッシーのスタンスを端的に表したものと言えるだろう。
 
「僕は動物を食べない。鳥も魚もね。自分のことを肉食だとかヴィーガン,ベジタリアンといった型にはめているわけでもない。僕は僕でしかないんだからね。ただ,母親がいる生き物は食べないってことさ。単純だろう?もちろん食事には苦労している。パン,パスタ,ポテト,それにナッツしか食べられないんだからね。胃にもたれるものばかりさ。だからレストランでメニューを渡される時ほど落ち込んだ気持ちになることはないね。僕はすぐにキッズ・メニューを見る。ベイクド・ビーンズを発見できた夜は上出来だよ(モリッシー)」
 
「本当に動物の権利問題に真剣ならポール・マッカートニーはナイトの称号を返却すべきだよ。彼がPETA(アメリカの動物愛護団体)を支持していることは知っているけど,それは同時に王室の連中も支持していることにもなるだろう?女王が着ている毛皮のコートを見てみなよ。ロシアがほぼ埋まるんじゃないかってくらいの凄まじい量じゃないか(モリッシー)」
 
「オバマのひどい手本は無視しなきゃ駄目さ。“Thanksgiving” の名のもとに,4,500万羽の七面鳥が電気ショックの水槽の中に引き込まれて喉を切り裂かれる。それなのにあの大統領ときたら笑っているんだからね(モリッシー)」
 
断っておくと,僕自身は菜食主義には全く興味がなく,むしろ僕の5大栄養素である「肉・ニンニク・脂・アルコール・ニコチン」に日々感謝を捧げつつ貪るという実に自堕落な毎日を過ごしているわけだから,ザ・スミス時代を含む彼の長いキャリアにあって唯一共感できないリリックということになるわけだが,ジョニー・マーまでもが「多くの人々が20年以上に渡って『Meat Is Murder』をきっかけにベジタリアンになったと語っているのは本当に誇らしいことだね」と述べていることにはさすがに失笑を禁じ得ない。
 
…が,しかし,だ。その痛烈なリリックを除けば感動的なまでに美しい1曲であることだけは確かだ。
 
 
 

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