さて,早いもので本日で2019年も終わり。今年最後の投稿には少々プライヴェートが絡む。
 
僕の人生の一場面,その喜怒哀楽に寄り添う楽曲の数々を取り上げるという本ブログの性質上,極力私事は避けながら記事の更新を続けているわけだが,この1年を振り返るにあたっては,愛息・美音,愛娘・愛音の健やかな成長と共に,やはり1歳下の妹の早過ぎる死に触れぬわけにはいくまい。
 
4月に起きた凄惨な事件と妹の死。
 
特に思春期には啀み合ってばかりの兄妹だったが,それでも僕にとってはたった一人の妹。幼少の頃,どこへ行くにも僕の後を追ってきた彼女の姿が今でも鮮明に思い出される。
 
わが子の成長に目を細める父親の喜び。妹の突然の死を悼む兄の悲痛な思い…。対照的と言うにはあまりに対照的な出来事を同時に経験することとなった僕の2019年を,宇多田ヒカルが「『Fantôme』 のメイン・テーマ」と語るこの曲で締め括ろう。
 
宇多田ヒカル - Fantôme - 2016
♯1 道
 
宇多田が亡き母に捧げた 6th アルバム Fantôme からの先行配信シングル。フランス語で「幻」や「気配」を意味する Fantôme には「母の存在を『気配』として感じられればそれでいい」という宇多田の想いが込められているそうだが,オープニングを飾るこの曲は,前述の通り,宇多田自身がその Fantôme のメイン・テーマと位置付けている1曲。
 
本人が出演しているサントリーのテレビCMでお馴染みの1曲でもあるが,珍しく打ち込み主体の心地よいトラックにやや擦れた宇多田の声色がジャストフィット。愛する人を失った心の痛みと,しかし同時にそれでも前へ踏み出そうとする美しい決意をも感じさせる,まさに至高のポップ・ナンバーだ。
 
春になると見事な花を咲かせる桜の木の下で母と共に眠る妹にこの曲を。愛を込めて。
 
 
 

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