I've Been Losing You

前回に続き「懐かしきドーナツ盤」。第18回の今日は,Take on Me のメガ・ヒットで一躍世界的なスターダムへと駆け上がった a-ha のこの曲を取り上げよう。
 
a-ha - I've Been Losing You - 1986
 
件の Take on Me のヴィジュアル・イメージによって既にアイドル的な人気を博していた彼らが「脱・アイドル」を期した1986年の 2nd アルバム Scoundrel Days からの 1st シングル。
 
マグスとポール・ワークターの2人が初めてプロデュースを担当してソリッドなバンド主体のサウンド・デザインとなった Scoundrel Days そのものに対する僕の評価は極めて低いのだが(本ブログでも何度か述べていることだが,彼らの真価が発揮されるのは 4th アルバム East of the Sun, West of the Moon 以降だったと個人的には考えている)全世界で1,100万枚を超えるスーパー・セールスを記録したこの曲だけはやはり別格。
 
 
雨じゃなかったんだ/君の瞳の輝きを/すっかり洗い流してしまったのは/
ベッドの横のテーブルに/銃を置いて/僕は/気付くべきだった/
 
雨じゃなかったんだ/何の関係もなかった/僕のせいじゃないと誓えればまだよかった/
 僕の行動の全てが/冷淡で/手遅れだったのは/火を見るより明らかだ…
 
多分に曲中の主人公による女性の「殺害」を連想させる陰鬱なリリックとハードなサウンド,そして何よりモートン・ハルケットの鬼気迫るヴォーカリゼーションは圧巻。(真偽は不明だが,ポールが満足できずにリテイクを重ねる中,ウンザリしたモートンが自嘲気味に歌い放ったテイクが採用されたという逸話も残されている。)
 
商業的な成功は意外と言えば意外にも思えるが,とかくファルセットにばかり注目が集まりがちなモートンがシーン屈指のシンガーであることを世に知らしめた1曲だとは言えよう。
 
 
 

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