Dancing on My Own
記事にするのが些か遅くなってしまったが,昨年,最も強く僕の胸を打った歌唱は,4月11日,Britain's Got Talent におけるカラム・スコットということになる。
幼い頃から音楽に囲まれて育ったカラムと妹のジェイド。兄妹は,共にプロのシンガーになることを夢見てBGT出場を決意する。
2度のチャレンジのいずれも審査員により中断,最後まで歌い切ることなく失格となったジェイドが去った後,果たしてカラムはBGTのステージへと向かう。幾分ナーバスになっているようにも見えたカラムは静かに歌い始める。
この圧倒的な歌唱!徐々に力強さを増す彼の声が一人,また一人とオーディエンスの心をつかみ,やがて会場全体を支配していく様はまさに鳥肌モノ。
この衝撃は,コナー・オバーストやジェイムス・ブラントなど,その声だけで僕の心を震わせたユニークなシンガーと初めて出会った時のそれと似る。
スタンディング・オベーションに包まれながら,カラムは見事ゴールデン・ブザーを勝ち取ることになるわけだが,その歌唱はもちろん,選曲もまた秀逸。
オリジナルはスウェーデン出身の女性シンガー,ロビンのヒット・シングル。
Robyn - Dancing on My Own - 2010
既に世界的な人気を得ていた彼女に本国スウェーデンでは初めてとなるNo.1をもたらし,同年のグラミー賞では Best Dance Performing にもノミネートされた1曲だ。
実のところ,僕は「オリジナルに忠実なカヴァー」に対してかなり懐疑的な立場を取っている。
独自の解釈で楽曲に新たな生命を吹き込むことにこそカヴァーの意義があるという思いが強いからだが,ロビンのパワフルなエレクトロニック・ポップを,オリジナルとは全く異なるアプローチで珠玉のスロー・ナンバーへと昇華させた彼らのアレンジもまた見事と言うほかない。
いずれにせよ次代のポップ・スターとしての資質は十分。いささか長文となってしまったが,最後はBGT出場後にカラム自らがアップした動画で締めよう。
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