Unfinished Sympathy

Massive Attack - Unfinished Sympathy - 1991
 
トリップ・ホップの最初のアルバムと定義され,ローリング・ストーン誌の The 500 Greatest Albums of All Time でも見事397位にランクされている1991年の 1st アルバム Blue Lines からの 2nd シングル。全英では最高13位を記録,所謂ブリストル・サウンドの最高傑作にも挙げられる90年代初頭のUKミュージック・シーン屈指のフロア・アンセムだ。(時折しもこのシングル・リリース時は湾岸戦争の最中。ジャケットの画像でお分かりの通り,イギリス政府の意向によってマッシヴ・アタックではなくマッシヴ名義でのリリースとなった。)
 
クラブ・ミュージックの方法論に Hip Hop,ダブ,レゲエ,ジャズなどさまざまなブラック・ミュージックのエッセンスを巧みにミックスして生み出されるダウナーなグルーヴ感が 2nd アルバム Protection までの彼らのサウンド・デザインの大きな特徴だったわけだが,とりわけシンガーにシャラ・ネルソンをフィーチャーしてソウル色を強めながらどこか気怠くクールな魅力を湛えたこのシングルはやはり彼らのキャリア初期を象徴する1曲と言えるだろう。
 
前述の通り,トリップ・ホップ(=ブリストル・サウンド)を生み出したある種革命的とも言える 1st アルバムからのシングルだったことに加え,しばしば「現代映像のベンチマーク」とも評されるこの曲のMVもなかなかの仕上がり。
 
「『一発撮り』はヒッチコックの『ロープ』やオーソン・ウェルズの『黒い罠』,ロバート・アルトマンの『ショート・カッツ』などで既に使われていたアイディアだけど,ミュージック・ヴィデオに使われたことはなかったと思う。かなり難しい撮影にはなったけど,僕は自分自身にチャレンジを与えるのが好きなんだ(バリー・ウォルシュ)」
 
楽曲に Loose な質感を与えたいというマッシヴ・アタックの意向で起用された監督のバリー・ウォルシュがこう語っているように,ロサンゼルスのサウス・セントラルを舞台としたこの曲のMVはステディカムによるワン・カットで撮影されたもの。1997年にUK屈指のヒット・シングルとなったザ・ヴァーヴの Bittersweet SymphonyMVUnfinished Sympathy へのオマージュであることもよく知られている。
 
 
 

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