Stars

これほどの星これほどの流れ星  今井肖子

唐突に秋の句から書き出してしまったが(季節外れと思われる向きもあろうが,暦の上では今日が立秋)この句は過去20年でも僕が最も心を打たれた秋の句のひとつだ。
 
「客観写生,花鳥諷詠を旨とすべし」というのが僕のスタンスであることに何ら変わりはないのだが,単に見事な星空を思わせるだけでなく,この句にはどこか強く情に訴えるものがあるように感じる。もちろん,これはあくまで僕の個人的見解,母がこんな感想を聞いていたらおそらく卒倒してしまうのだろう…(苦笑)
 
ともかくも徹底的な削ぎ落としの果てに選ばれたこの十七音が残す言いようのない余韻が僕を強く惹きつけるわけだが,加えて中間切れである点も実は僕の好みに見事に合致する。
 
これまたあくまで「個人的に」というレベルの話にはなってしまうが,僕自身は比較的中間切れの句を好んでいる。それは,五・七・五の定型という拘束の中におけるささやかな抵抗,あるいは自由獲得のように感じられるという,おそらく僕意外には全く理解不能な理由からなのだが,この句が生むリズムには,一瞬,それが定型詩であることを忘れさせるほどの強烈なインパクトがあるように思う。
 
…と,俳諧に造詣の深い方々がご覧になったら怒鳴られてしまいそうなことを偉そうにも長々と書き連ねてしまったが,これらは(繰り返しになるが)あくまで僕の個人的主観,作句から離れて久しい素人の戯言ということで…。
 
さて,本日の1曲。
 
Simply Red - Stars - 1990
 
ドラムのクリスとベースのトニー,2人の脱退により日本人ドラマー・屋敷豪太が参加してレコーディングされた同名アルバムからの 2nd シングル。自動車か何かのテレビCMで使われたことがあると記憶しているから聞き覚えのあるリスナーも多いかもしれない。
 
この星空から/君の腕の中へと飛び込みたい気分さ/
僕には/君が感じられる/君が分かってくれているといいんだけど…
 
一説に当時の英政府を批判した痛烈なメッセージ・ソングとも言われているが,何とも煮え切らない2人の関係を描いた美しいラヴ・ソング。
 
タイトルと曲中に「星空」が登場すること以外に本記事前半の記述とはほぼ無関係だが,まあ,たまにはこんな記事もいいだろう…(笑)
 
 
 

0 件のコメント:

コメントを投稿