A Rush and a Push and the Land Is Ours

The Smiths - Strangeways, Here We Come - 1987
♯1 A Rush and a Push and the Land Is Ours

実のところ,僕とザ・スミスの出会いはバンド最後のスタジオ・アルバム Strangeways, Here We Come だった。ジョニーがバンドの最高傑作と位置付けるこのアルバムのサウンド・デザインはいまだ評価の分かれるところではあるが,それでも思春期の僕がその後,ザ・スミスに大きく倒していくのに十分なインパクトがあった。何しろオープニングを飾るこの曲が,いきなり首を吊って死んだ男の幽霊の自己紹介で始まるのだから!
 
やあ/僕は厄介者のジョーの幽霊さ/18ヵ月ほど前に/首を吊って死んだんだ…
 
「突進,突撃,さすれば眼下の土地は我らのもの」

モリッシーが敬愛するオスカー・ワイルドの母親によって書かれたという詩の一節を引用して恋愛を戦争に擬え,結局は強い者が勝利すると説きながら,この惨めな幽霊は情けなく怖気づく。
 
ああ/駄目だよ/どうか/恋愛については触れないでおくれ/
あんな痛み/あんな苦しみはもうごめんなんだから…
 
散々怖気づいた挙句,ジョーの幽霊は無様にも告白する。
 
僕に電話して/電話して/僕は恋をしているみたいだ/恋をしているみたいだ/
ああ/何てことだ/僕は間違いなく恋をしているんだ…
 
実にモリッシーらしい,何とも女々しい幽霊ではないか。
 
 
 

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