ウララ

ビッケブランカ - ウララ - 2018
 
昨年4月にリリースされたビッケブランカのメジャー・デビュー・シングル。
 
極めて個人的な理由になるし,感傷的に過ぎると言われればそうなのかもしれないが,この時期にこの曲を聴き返そうと思ったのはやはりどこか象徴的だと思えなくもない。
 
存続していればSMAPあたりが歌っていそうな華やかなトラックとメロディ,ポップ・ソング・マナーを丁寧に踏襲した楽曲構成に小気味よいピアノのアクセントと,非常に優れたポップ・ソングであることに異論の余地はないが,加えてこの曲のリリック,節々に聴かれる言葉のセンスもまた実に秀逸。
 
特に強く僕の胸を打ったのは次の2箇所。まずはサビの直前…
 
ull come to me/街が騒ぎ始めた
ull ull ull by the wayもうすぐそこですもの(←ココ)

リズミカルな常体で綴られていた朝の一場面,今まさにサビへと突入する,そのギリギリのタイミングであろうことか敬体のこのフレーズをブッ込んできたか!と。あるいはそこまで深く考えられたものではなく,単に語感の問題という可能性もあるにはあるが,それにしてもこのタイミングでの文体の転換は天才的。

そして,終盤…

季節が立って/時季が経って/そしたらわかるのでしょうか
春らしくまた笑顔で逢いましょう/さよならです

「とき」に「時季」を当てたため,「季節が立って」と意味が重複するという嫌いはあるものの,時間の経過に「季節が立つ」という日本語独特の表現を加えることで,笑顔での再会を願うこの別れの場面は,何とも言いようのない美しさを湛えることになる。(個人的な理由に由来して僕が思わず涙してしまうのが実はこの件。また,これはあくまで僕の主観になってしまうのだが,「季節が立つ」という表現には彼の確かな教養が感じられるように思う。さすがは学習院大学文学部といったところか。)

いずれにせよ,随所に知性が垣間見える彼の詞作は非常に僕好み。彼が2人の女性の間で右往左往しながら進行するレトロ&ポップなMVも見応え十分だ。


 

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